おばあちゃんのこと

今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」

全員二親等の関係であるが、私が特に親しんでいた母方の祖母が亡くなって、もう三年ほどになる。近所に住んでいた母方の祖母は東京生まれ東京育ちのお嬢様で、性格だけでいえば大変わがままな部類に入る。人生で欲しい物トップ3はダイヤと毛皮と別荘で、うちダイヤ以外は祖父からもらっていた。(最後の一つまで貰うと寿命が縮みそうという謎の理論でダイヤはもらわなかったようなのだけれど)小学生のころは祖父母に連れられ那須塩原にあった別荘へ夏休みに遊びに行った記憶がある。山奥でなにもなく、祖父母が小学校の教員だった事もあり、宿題がはかどる夏休みだった。

そんな母方の祖父は祖母よりも二年ほど前に亡くなっており、その時から何かと言えば祖母の要望をきくのは、身近で一番暇を持て余していた私になっていた。祖父が毎月欠かさずかえていた床の間の掛け軸も、祖父が遺したメモを頼りに私の役目となり、月初めに必ず祖母から「いつお軸を替えにきてもらえますか?」という連絡を貰う。組み立て式のラックを買えば「組み立ててほしい」という連絡を貰い、パソコン操作に不安を覚えれば「教えてほしい」という連絡を貰い、買い物があれば「ついてきてほしい」という連絡を貰い、その度にいそいそと出向いていた。どれもこれも嫌ではなかった。祖母のことは好きだったし、幸いにして私はラックの組み立てもパソコン操作も買い物も得意であった。

また祖母のことを思い出すと必ず、展覧会のことを思い出す。詳しくは知らないのだが、町内の同世代の方々と一緒に作品をこしらえ展覧会を催していたらしい。祖父母はともに書を嗜んでいたため祖母も書を出品していたのだが、ある時趣向を凝らし、ちぎり絵もしくはクラフトテープや針金で作るフェイクの盆栽を展示する話になった。それぞれのメンバーがちぎり絵もしくはフェイクの盆栽作りとなる中、どういうわけか祖母は両方作る事になったらしい。経緯はわからなかったが彼女の態度を鑑みるに不本意でしかなく、私にこぼしていたのを覚えている。そして驚きのセリフ「私はちぎり絵を作るから、あなたは盆栽を作ってほしいの。」一瞬耳を疑ったが、かくして私も祖母のゴーストクリエイターとして展覧会に参加することとなった。作り方の手順だけ祖母は仲間内での作業の際に覚え、それを後日私に伝える。その後のパーツ作りからせっせと盆栽づくりに励む私。仲間内で作業する場合のみ、パーツを作る祖母。そして再び驚きのセリフ「あなた器用でしょ?バレたら困るし周りにできるじゃないって思われても面倒なの、ちょうどいい具合に下手に作るのよ」おばあ様、無茶を言いなさる。その後四苦八苦しながら作り上げた盆栽を、祖母は何食わぬ顔をして展覧会へ持って行き「バレなかったわ」と清々しい笑顔で教えてくれた。作業期間中はなんてめんどくさいことを引き受けてしまったのだと思っていたが、今思い出しても、なかなか楽しい思い出である。